登園で泣く子どもへの声かけ|保育士の視点から見た「安心できる別れ方」

「行かないー!」その泣き声に、どう答えますか

毎朝、子どもに泣かれながら園に預けるのはつらいものです。「こんなに嫌がっているのに預けていいのだろうか」と自問してしまう保護者の方も多い。保育の現場で日々見ていると、その気持ちはよくわかります。

でも、保育士として正直にお伝えすると——親が見えなくなってから5分以内に泣き止む子どもが、圧倒的に多いです。子どもはお父さん・お母さんの前で全力で気持ちを出しているだけで、園に入れば切り替えて楽しく過ごしていることがほとんどなのです。

大きな窓から自然光が差し込むこども園の明るい保育室内部

泣いている子どもにNGな声かけ

まず、よかれと思ってやりがちだけれど逆効果になりやすいパターンを確認しておきましょう。

  • 「泣かないで!」——泣くことを否定すると、感情の出口がなくなります
  • 「お友だちは泣いてないよ」——他の子と比べると自己否定につながります
  • 「じゃあ行かなくていい」——一時的に泣き止んでも、翌日以降がさらに難しくなります
  • 別れ際をずるずる長引かせる——親も子も苦しくなるだけです

保育士が見てきた「うまくいく別れ方」

屋久島の尾之間という小さな集落にある園で、長年子どもたちの登園を見てきて気づいたことがあります。朝の別れ方がうまいご家庭には、共通したパターンがあるのです。

笑顔で短く「いってきます」

たとえ子どもが泣いていても、親が笑顔でいると子どもは「大丈夫なんだ」と感じます。親の不安な表情が子どもに伝わって、余計に泣いてしまうことも実際に多いです。

「○時に迎えに来るね」を毎日伝える

「15時にお迎えに来るよ」と具体的な時間を伝えると、子どもは見通しが持てて安心します。時計が読めない年齢でも「おやつのあと」「お昼寝が終わったら」など、子どもがわかる言葉に置き換えると効果的です。

担任の先生に引き継いだらすぐ離れる

保育士に子どもを引き渡したら、後ろを振り返らずにスパッと出る。これが一番子どもにとって切り替えやすい形です。なかなか出られずにいると、子どもも「まだいてくれるかも」と期待してしまいます。

屋久島の地杉を使った温かみのある園舎で活動するあゆみの森こども園の子どもたち

園側でできるサポート

あゆみの森こども園では、登園時に泣いている子どもには担任が直接受け取り、好きな遊びや気になる物で注意を引きながら気持ちを切り替えるサポートをしています。アコウの大きな木の下で虫を探したり、朝の水やりを一緒にしたり——屋久島の自然が気持ちの切り替えを助けてくれることも多いです。

「今日はどうでしたか?」と毎日少し声をかけていただけると、担任も家庭の状況を把握しやすくなります。連携しながら一緒に乗り越えていきましょう。

泣きながら登園するのはいつまで続く?

「毎朝こんなに泣いて、いつになったら落ち着くの?」と疲れてしまう保護者の方も多いです。個人差はありますが、多くの場合1〜2ヶ月ほどで朝の泣きは落ち着いてきます。

ただ、一度落ち着いたと思っても連休明けや体調不良が続いたあとにぶり返すことがあります。これも自然なことなので、「また逆戻りしてしまった」と落ち込む必要はありません。子どもなりのペースで、少しずつ慣れていきます。

2〜3ヶ月経っても改善が見られない場合や、食欲の低下・夜泣きの増加など他のサインが重なっている場合は、担任や園長に気軽に相談してみてください。園と家庭が連携して原因を探ることで、解決の糸口が見えることがあります。

登園拒否は、子どもが成長している証拠でもあります。「親と離れるのが嫌だ」と感じられるくらい、愛着がしっかり育っているということです。焦らず、一歩ずつ。


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