登園しぶりを減らすために家庭でできること|朝のルーティンの工夫と声かけのコツ

保育士として見てきた「朝スムーズな家庭」の共通点

登園しぶりで困っている保護者の方とたくさん話してきました。一方で、毎朝ほとんど泣かずに登園してくる子もいます。その違いはどこにあるのか。もちろん子どもの個性が大きいですが、家庭の朝の過ごし方にいくつかの共通点があると感じています。

特別なテクニックではありません。どちらかというと「当たり前のことを毎日同じように続けている」ことが多い。この記事では、その具体的な工夫をお伝えします。

朝の「見通し」が持てるかどうか

子どもにとって、「次に何が起こるかわからない」というのは大きな不安のもとです。大人は時計を見て動けますが、小さな子にはそれができません。

「ご飯を食べたら着替えて、着替えたらくつを履いて、園に行くよ」。この流れを毎日同じ順番で繰り返すだけで、子どもは「次はこうなる」と予測できるようになります。予測できると安心する。安心すると、切り替えがスムーズになる。シンプルですが、これがいちばん効きます。

あゆみの森こども園でも、一日の流れをなるべく同じリズムにしています。登園したら荷物を棚に入れて、手を洗って、お部屋に入る。この順番が毎日同じだから、子どもたちは何も言われなくても自分で動けるようになっていきます。

木製ロッカーの前で帰りの準備をするあゆみの森こども園の子どもたち

朝の声かけで避けたいこと

忙しい朝はつい言ってしまいがちですが、以下のような声かけは逆効果になることがあります。

「早くして!」を連発する

急かされるほど子どもは固まります。体が動かなくなる、泣き出す、余計に時間がかかる。悪循環です。余裕を持った起床時間を設定することが、結果的にいちばんの近道です。朝10分早く起きるだけで、親の声のトーンが変わります。

「泣かないで」と言う

泣いている子に「泣かないで」は、「悲しいって思うな」と言っているのと同じです。感情を否定された子どもは、余計に泣きます。「悲しいんだね、離れるの寂しいね」と気持ちをまず受け止める。その上で「でも先生が待ってるよ」「帰りに公園寄ろうね」と前向きな言葉を添える方が効果的です。

「行きたくないなら行かなくていいよ」と言う

やさしさから出る言葉ですが、子どもは本当に「行かなくていいんだ」と受け取ります。翌朝も同じことを期待するようになり、かえって状況が長引くことがあります。選択肢を与えるなら、「赤いくつと青いくつ、どっち履いて行く?」のように、行くことを前提にした選択にしてあげてください。自分で決めた、という感覚が子どもを前向きにします。

効果があった声かけと工夫

保護者の方から「これで朝泣かなくなりました」と教えてもらったものをいくつかご紹介します。

  • 「園に着いたら○○先生にこのお手紙渡そう」と役割を持たせる
  • 「帰りにAコープの前を通って帰ろうね」など、お迎え後の楽しみを伝える
  • 「お母さんも頑張ってくるから、△△ちゃんも頑張ってね」と対等な立場で話す
  • 前日の夜に「明日は園でどんなことするかな?」と楽しみを一緒に想像する

尾之間はご近所同士の距離が近い集落なので、通園途中で地域の方に「おはよう」と声をかけてもらうだけで気持ちが切り替わる子もいるそうです。小さなコミュニティならではの良さかもしれません。朝パン屋ペイタの前を通ると、パンのいい匂いがして機嫌が直る子もいました。

保護者と子どもが一緒に活動するあゆみの森こども園のワークショップ

夜の過ごし方も朝に影響する

朝の登園しぶりの原因が、実は夜にあることもあります。睡眠不足の子は朝の機嫌が悪くなりやすく、切り替えも苦手になります。

寝る前にスマホやタブレットの画面を見ていると、脳が興奮して寝つきが悪くなると言われています。夜はなるべく穏やかに過ごして、十分な睡眠を確保すること。地味ですが、これが朝のスムーズな登園につながっています。

それでも続くときは園に相談を

いろいろ試してもなかなか改善しない場合は、一人で抱え込まずに園に相談してください。保育士は日中のお子さんの様子を見ているので、「こういう場面では楽しそうにしている」「この遊びがお気に入りみたいです」といった情報をお伝えできます。

それが朝の声かけのヒントになることもあります。家庭と園がチームで取り組めば、きっと改善の糸口が見つかります。


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