離島の小さな園が自園調理を続ける理由|屋久島の食材と食育のつながり

味噌汁のだしの香りが、園舎に広がる朝

朝、園に着くと調理室からだしの香りが漂ってきます。子どもたちは「今日のごはん何かなあ」と鼻をくんくんさせながら保育室に向かいます。これは自園調理の園ならではの朝の光景です。

あゆみの森こども園は屋久島の尾之間集落にある園児28名の小さなこども園です。調理員1名が毎日の給食を手作りしています。離島の小規模園が自園調理を続けることは決して簡単ではありません。それでも続けているのは、「食べること」が保育の大切な柱だと考えているからです。

室内で集まって遊びを楽しむあゆみの森こども園の子どもたち

屋久島の食材が給食になる

島で手に入る食材をできるだけ給食に使うようにしています。尾之間の豆腐屋さんの豆腐、島内のパン屋さんの食パン。大手メーカーの既製品ではなく、顔の見える生産者から届く食材です。

もちろん、島の食材だけですべてをまかなうことはできません。船便で届く食材も多く使っています。ただ、「これは誰が作ったものか」がわかる食材が食卓にあるということは、子どもにとって食への信頼感につながると感じています。給食の時間に「この豆腐、お豆腐屋さんが作ったんだよ」と伝えると、子どもたちの食べ方が少し変わるのです。なんというか、丁寧に口に運ぶようになります。

食育は特別なイベントだけではない

食育というと、クッキング教室や畑での野菜収穫といった特別なイベントを想像する方が多いかもしれません。当園でもジャガイモの栽培や味噌づくりといった活動に取り組んでいますが、食育の本質はもっと日常的なところにあると考えています。

先日の味噌づくりでは、子どもたちが麦をほぐしているときに「納豆の匂いがする!」と言い、大豆をつぶしているときには「トウモロコシの匂い!」と答えていました。正解不正解ではなく、自分の感覚で食材と向き合っている姿がとても印象的でした。大豆を団子にしてバケツに投げ入れる工程では「もう一回やりたい!」の声が止まらず、食べ物を作ることの楽しさを体全体で感じている様子でした。

特別な日だけが食育ではありません。毎日の給食で「おいしい」と言うこと。苦手な食材にまず一口だけ挑戦してみること。調理員さんに「ごちそうさまでした」と自分から伝えること。こうした日常の小さな積み重ねが、子どもの食に対する姿勢を少しずつ作っていくのだと思います。

小さな手で土や砂を触って感触を楽しむあゆみの森こども園の園児

自園調理と保育が連携するということ

自園調理の強みは、調理員と保育士が同じ場所で毎日働いていることです。「今日、○○ちゃんが初めてブロッコリーを食べたよ」という保育士からの報告を調理員がその日のうちに聞ける。「来週は芋掘りをするから、翌日の給食にジャガイモを使おうか」という連携もスムーズにできます。

外部委託の給食が悪いわけでは決してありません。ただ、保育と食が切り離されず、ひとつの流れとしてつながっている環境は、子どもにとって自然で心地よいものだと思っています。作る人の顔が見え、食べる人の顔も見える。その距離の近さが自園調理のいちばんの価値です。

島の暮らしの中で、食は生活そのものです。海から届く魚、畑で育つ野菜、近所の豆腐屋さんが毎朝作る豆腐。食卓の向こうに人の手が見える暮らし。そういう感覚を園の給食を通じて子どもたちに伝えていけたらと思っています。


見学のご案内

あゆみの森こども園は1歳から5歳までのお子さんを対象とした幼保連携型認定こども園です。園見学を随時受け付けています。給食の時間を見ていただくことも可能です。

お問い合わせはLINE公式アカウントからお気軽にどうぞ。

入園に関する情報は入園案内ページもあわせてご覧ください。

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