好き嫌いのある子と給食|「食べなさい」と言わない保育園の食育

給食を「食べなさい」と言わない理由

好き嫌いのある子に対して、つい「一口だけでも食べなさい」と言いたくなる気持ちはよくわかります。お母さんお父さんが栄養バランスを心配するのは当然のことです。でも、保育の現場で毎日子どもたちの食事を見ていると、「食べなさい」がかえって食事を嫌いにさせてしまう場面を何度も見てきました。

あゆみの森こども園では、好き嫌いへの対応として「強制しない」を基本方針にしています。

好き嫌いはなぜ起きるのか

子どもの好き嫌いにはいくつかの理由があります。味覚が大人より敏感で苦味を強く感じる、食感が苦手、見た目で拒否する、その日の体調や気分。理由は一つではないし、日によっても変わります。

昨日は食べたブロッコリーが今日はイヤ、ということも珍しくありません。大人からすると「昨日食べたじゃない」と言いたくなりますが、子どもにとっては昨日と今日は別の話です。だから保育士は毎食、その子のその瞬間の反応を見ながら声かけを変えています。

友だちの存在が変えるもの

家では絶対に口にしなかったものを、保育園では食べている。保護者の方から「信じられない」と言われることがあります。これは集団の力です。隣の子が「おいしい」と食べている姿を見て、「自分も食べてみようかな」と思える。大人に言われるより、友だちの行動のほうがずっと影響力があります。

当園の2歳以上の子どもたちは異年齢で食事をとることもあり、年上の子が食べている姿が年下の子の刺激になっている場面は日常的に見られます。

石や泥を使った感触遊びに夢中になるあゆみの森こども園の子どもたち

食べ物に「触れる」ことから始める食育

好き嫌いを減らすアプローチとして、あゆみの森こども園が力を入れているのが食育です。食育と聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、やっていることはシンプルです。食べ物に手で触れる。匂いを嗅ぐ。育てて収穫する。つくる工程を体験する。

今年の味噌づくりが印象的でした。大豆を茹でて潰し、麦麹と塩を混ぜ合わせ、団子にしてバケツにえいっと投げ入れる。この「投げ入れる」作業が子どもたちに一番人気で、「もう一回やりたい!」の声が止まらなかったんです。空気を抜くために力いっぱい投げるのですが、2歳児も3歳児も夢中になっていました。

投げているのは味噌の材料です。自分たちの手で触って、形を作って、投げ入れた。その味噌がやがて給食の味噌汁になると知った時の子どもたちの表情は、食べ物への見方が少し変わった瞬間だったように思います。

小さな手で土や砂を触って感触を楽しむあゆみの森こども園の園児

自園調理だからできること

当園は自園調理の給食です。園の厨房で調理員が毎日手作りしています。屋久島の豆腐やパン屋ペイタの食パンなど、地元の食材が食卓に並びます。出来たてのごはんの匂いが園舎に漂うと、それだけで子どもたちは「おなかすいた」と言い出します。匂いは食欲を動かす大きな力です。

手作りの給食は味の調整もしやすい。子どもの食べ具合を見て、調理員と保育士が「今日の煮物はちょっと固かったかも」「次はもう少し柔らかくしよう」とやりとりしています。作る人と食べる場所が同じ建物にあるからこその連携です。

焦らない、比べない

好き嫌いに対して一番大切なのは、焦らないことだと考えています。他の子と比べて「あの子は食べているのに」と思うのは自然な感情ですが、子どもの食は本当に個人差が大きいです。今は食べなくても、半年後、一年後に急に食べるようになることもあります。園ではそのペースを見守りながら、食事の時間そのものが楽しいと感じてもらえる環境を作ることを優先しています。

屋久島という場所で、海と山に囲まれて育つ子どもたち。食べ物の向こうに海や畑や人の手が見えるような距離感が、この園の食のあり方です。好き嫌いが今あっても、食べ物への信頼は少しずつ積み重なっていきます。


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