自然保育に効果はある?研究データと保育現場の実感から考える
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自然保育に「エビデンス」はあるのか
自然保育が良いと言われても、「本当に効果があるの?」「科学的な根拠はあるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。最近は「エビデンスに基づいた教育」が重視される時代です。自然保育の効果をデータで示すことはできるのでしょうか。
結論から言うと、自然体験と子どもの発達の関係についての研究は、国内外で蓄積されています。ただし、保育園の選択は数値だけで決められるものではありません。この記事では、研究知見と現場の実感の両面から、自然保育の効果について考えてみたいと思います。

研究が示す自然体験の効果
注意力と集中力の向上
アメリカの研究者リチャード・ルーヴの著書「あなたの子どもには自然が足りない」で紹介されているように、自然環境での活動は子どもの注意力回復に効果があるとされています。人工的な環境では常に意識的な注意を向ける必要がありますが、自然の中では「無意識の注意」が働き、脳の疲労が軽減されるという理論です。実際に、緑の多い環境で過ごす時間が長い子どもほど、集中力テストの成績が良いという調査結果が報告されています。
免疫力への影響
土や泥、植物に触れることで、子どもの免疫システムが刺激されるという研究もあります。いわゆる「衛生仮説」と呼ばれる考え方で、過度に清潔な環境よりも、適度に微生物と接触する環境のほうが、アレルギーの発症リスクが低いとされています。もちろんこれはすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、自然の中で泥まみれになって遊ぶことに、身体的なメリットがある可能性は高いです。
創造性とリスク管理能力
自然の中には既製品のおもちゃがない分、子どもは身の回りの素材を使って遊びを創り出します。棒が剣になり、石がお金になり、葉っぱがお皿になる。こうした「見立て遊び」は創造性を育む重要な体験です。また、木に登る、川を渡るといった活動は、子ども自身がリスクを判断し、自分の能力の限界を学ぶ機会になります。近年、ヨーロッパではこうした「リスクのある遊び」の教育的価値が再評価されています。

現場で感じる変化
研究データも大切ですが、実際に子どもたちの変化を日々見ている保育士の実感もお伝えしたいと思います。あゆみの森こども園で自然保育を実践していて、保育士がよく口にするのが「子どもの表情が違う」ということです。
室内遊びのときとは明らかに違う集中力で自然物に向き合う姿。生き物を見つけたときの目の輝き。初めて木に登れたときの達成感に満ちた顔。そうした表情の変化は、テストでは測れないけれど確かに存在する「効果」です。
また、保護者からも「園に通い始めてから風邪をひきにくくなった」「家でも外で遊びたがるようになった」「虫が平気になった」といった声をいただくことがあります。これらは科学的に検証されたデータではありませんが、実際に子どもの変化として保護者が感じていることです。
数字で測れない「育ち」を信じる
自然保育の効果を完全に数値化することは難しいかもしれません。でも、自然の中で育った子どもたちが見せる好奇心、粘り強さ、思いやり、創造性。これらは将来の学力やキャリアの土台となる非認知能力そのものです。幼児期にこうした力を育むことの重要性は、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究でも示されています。
すべての子どもに自然保育が最適とは限りません。でも、もし自然保育に少しでも関心があるなら、実際に足を運んで、子どもたちの姿を見てほしい。データ以上に雄弁な「証拠」がそこにあるはずです。
屋久島で自然保育を実践する園
あゆみの森こども園は屋久島・尾之間にある1歳から5歳までのこども園です。世界遺産の島の自然を活かした保育を行っています。
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