ジャガイモ栽培で食育|「食べる」の手前にある時間を子どもと過ごす

「食べる」の手前にある体験

スーパーに並んでいるジャガイモ。袋に入って、きれいに洗われて、当たり前のようにそこにある。でも、それが土の中でどんなふうに育って、どうやって収穫されるのか——知っている子どもは多くありません。大人だって、あまり意識しないかもしれません。

あゆみの森こども園でジャガイモを育てることにしたのは、「食べる」の手前にある時間を子どもたちに体験してほしかったからです。土を触って、種イモを植えて、水をやって、待つ。そのひとつひとつの過程が、食べ物への理解を深めてくれると考えました。

子どもの足元と自然物を持つ手のクローズアップ写真

子どもたちの変化は小さなところに表れる

ジャガイモを育て始めてから、給食の時間にちょっとした変化がありました。「このニンジンも誰かが育てたの?」「お米はどうやってできるの?」と、食べ物の「前の話」に興味を持つ子が増えたんです。

以前は「好き」「嫌い」の二択だった食べ物への反応が、少しずつ変わってきている。ジャガイモの栽培がきっかけで、食べ物には必ず「つくる人」と「育てる時間」があることに気づき始めているように見えます。その気づきは、こちらから教えたのではなく、自分で体験したからこそ生まれたものだと思います。

土に触れることの意味

畑での活動は、食育だけでなく感覚的な体験としても豊かです。屋久島の黒い土は、雨のあとは湿っていてひんやりしている。晴れた日はさらさらで温かい。ミミズが出てきて驚く子もいれば、「ミミズがいると土がいいんだよ」と得意げに話す子もいる。

畑という場所は、教室では得られない発見の連続です。虫がいて、雑草が生えて、天気によって土の状態が変わる。そのすべてが子どもにとっての学びになっています。屋久島は雨が多い島ですから、「昨日の雨で土がふかふかになってる」なんて気づきも出てきて、天気と植物の関係を体で覚えていっている様子が見られます。

カラフルな帽子をかぶって地面で自然遊びをする園児たち

収穫したジャガイモを給食で

3月に収穫予定のジャガイモは、園の給食で調理する計画です。どんな料理にするかは、子どもたちと相談して決める予定でいます。自分たちで育てた野菜を自分たちで食べる——その体験は、何より「おいしい」と感じる力を育ててくれるはずです。

あゆみの森こども園の給食は自園調理で、地元の食材を大切にしています。地域の豆腐屋さんのお豆腐や、島のパン屋さんの食パンも使っています。そこに子どもたちが育てたジャガイモが加わることで、「園で育てたものが給食になる」という小さな循環が生まれます。

食育って、栄養の話をすることじゃないと思うんです。食べ物と自分のつながりを実感すること。それが本当の意味での食育だと、畑の活動を通じて感じています。

ジャガイモ栽培をきっかけに広がる興味

ジャガイモ栽培をきっかけに、「次は何を育てる?」「トマトもやりたい」という声が子どもたちから出てくるようになりました。一つの経験が次の興味を引き出していく。その連鎖が起きていることが、この活動を始めて本当に良かったと思う瞬間です。

あゆみの森こども園では、味噌づくりや藍染めなども新たに取り組んでいます。どれも共通しているのは、「過程」を大事にしているということ。結果だけでなく、途中の時間を子どもたちと共有することで見えてくるものがある。その実感が、園の保育を少しずつ豊かにしてくれています。

食べること、育てること、待つこと。どれも日々の暮らしの中にある当たり前のことですが、それを丁寧に体験する時間をつくることが、子どもたちの「食」への感覚を育てていくのだと信じています。


見学のご案内

あゆみの森こども園では、園の見学を随時受け付けています。畑の様子や日々の保育の雰囲気を、ぜひ直接感じてみてください。

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