「ひとつひとつが違って素敵」——私たちが大切にしていること

絵本棚の前で熱田園長の話を聞くあゆみの森こども園の子どもたち

あゆみの森こども園のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。園長の熱田博之です。

私たちの園では、「ひとつひとつが違って素敵」という言葉を大切にしています。

子どもたちは一人ひとり、違う個性を持っています。興味を持つものも、成長のペースも、表現の仕方も、みんな違います。私たちはその違いを「直すべきもの」ではなく「素敵なもの」として受け止めたいと考えています。

自ら感じ、自ら考え、動く。そして、自分への信頼感を育む。集団の中にいながらも、自分で考え行動できる子どもたちを育てていきたい。それが私たちの願いです。


この考えに至るまで——私自身の経験から

杉の巨木が立ち並ぶ屋久島の原生林の風景

なぜ私がこのような考えを持つようになったのか。少しだけ、私自身のことをお話しさせてください。

私は11年前、家族とともに屋久島に移住してきました。

移住前は大阪で会社員をしていました。片道2時間の通勤、朝5時に家を出て夜11時に帰る日々。娘が生まれても、私が見ることができたのは寝ている娘の顔だけでした。

「本当にこれは子育てをしていると言えるのだろうか」

そんな疑問を抱えながらも、どうすればいいのか分からない。妻も精神的に追い詰められていく。このまま続けていいのか、何かを変えなければいけないのではないか——そう思いながらも、一歩を踏み出すことができずにいました。

私は学生時代、ワンダーフォーゲル部で日本全国を旅していました。その中で最も心に残った場所が屋久島でした。「いつかこの島で暮らしたい」という夢はありましたが、それを実現する勇気がなかったのです。

しかし、娘の誕生をきっかけに、私たち夫婦は決断しました。「この子を自然の中で育てたい」「家族と向き合う時間を取り戻したい」。その想いを胸に、周囲の反対を押し切って屋久島への移住を決めました。


屋久島で気づいたこと

屋久島の森の中で探検を楽しむあゆみの森こども園の子どもたち

移住してから11年が経ちました。最初は保護者として娘をこの園に預け、その後ご縁があって事務として働き始め、気づけば園長という立場を任されるようになりました。

この11年間で私が学んだことがあります。

それは、「人は環境によって変わる」ということです。

都会にいた頃の私は、常に何かに追われ、効率を求め、「こうあるべき」という枠の中で生きていました。しかし屋久島の自然の中で暮らすうちに、その枠が少しずつ外れていきました。

子どもたちを見ていても同じことを感じます。森の中で遊ぶ子どもたちは、誰かに指示されなくても、自分で面白いものを見つけ、自分で考え、自分で動きます。失敗しても、また挑戦します。そこには「こうあるべき」という枠がありません。

「ひとつひとつが違って素敵」という言葉は、私自身がこの島で教わったことでもあるのです。


私たちの保育——3つの柱

屋久島の大きなアコウの木に元気に登って遊ぶこども園の園児たち

あゆみの森こども園では、3つの柱を大切にした保育を行っています。

1. 森の活動

屋久島は世界自然遺産の島です。私たちはこの豊かな自然を、保育の中心に据えています。

3歳から5歳の子どもたちは、環境文化研修センターの森で活動します。1歳、2歳の子どもたちも、園庭や園の周辺に出かけ、自然と触れ合います。

大切にしているのは、五感で感じること。「すべてはつながっている」というエコロジーの考え方を、言葉ではなく体験を通じて学んでいきます。

2. 子どもプロジェクト

自分の感じたことを表現すること。そして、他者の感じたことも受け止めること。私たちはこれを「子どもプロジェクト」と呼んでいます。

大人も子どもも一緒になって、ひとつのものを作り上げていくプロセスを大切にしています。完成した作品よりも、そこに至るまでの対話や試行錯誤に意味があると考えています。

3. 異年齢保育

日常生活の中心は、異年齢の子どもたちが一緒に過ごす環境です。

年上の子どもは年下の子どもの面倒を見ることで責任感を学び、年下の子どもは年上の子どもを見て憧れを持ちます。一人ひとりの個性をお互いに大切にしながら、自然な形で社会性が育まれていきます。


保護者の皆様へ

屋久島の自然の中で親子で野菜収穫を楽しむあゆみの森こども園の活動

お子さんを預ける園を選ぶということは、大きな決断だと思います。特に屋久島への移住を考えていらっしゃる方にとっては、なおさらでしょう。

私自身、11年前にその決断をした一人です。「本当に大丈夫だろうか」「子どもにとって良い選択なのだろうか」——そんな不安を抱えながら移住を決めました。

だからこそ、同じような不安を抱えていらっしゃる方の気持ちは、よく分かるつもりです。

園の見学は随時受け付けております。実際に来ていただき、子どもたちの様子を見ていただき、何でもご質問ください。移住に関する不安やご相談にも、私の経験からお話しできることがあるかもしれません。

「未来を元気に生きる屋久島っ子を育む」——これが私たちの目指す姿です。保護者の皆様と一緒に、お子さんの成長を見守っていければ幸いです。


保育の仕事を志す方へ

地杉の床と高い天井が特徴的なあゆみの森こども園職員寮の広々とした室内

「屋久島で働いてみたい」「自然の中での保育に興味がある」——そんな想いをお持ちの方へ。

あゆみの森こども園は、定員約40名の小規模な園です。子ども一人ひとりと丁寧に関わることができる環境があります。

私たちは、職員も一緒に成長できる場でありたいと考えています。「こういう活動をしてみたい」というアイデアがあれば、ぜひ聞かせてください。小規模な園だからこそ、職員全員で検討し、実現に向けて動くことができます。

移住を伴う就職には不安もあるかと思います。私たちは職員寮を完備し、就職準備金の貸付制度も整えています。見学や面接の交通費も全額支給いたします。

私自身が移住者です。移住に伴う苦労や不安については、実体験をもとにお話しできます。まずは気軽にご連絡ください。


最後に

木製の園舎内で熱田園長と保護者が交流する様子

正直にお伝えします。

私は決して完璧な園長ではありません。小心者でおっちょこちょい、毎日バタバタと走り回っています。保育の専門家として、まだまだ学ばなければならないことがたくさんあります。

しかし、この島で、この園で、子どもたちの成長に関われることを、心から幸せに思っています。11年前、勇気を出して移住を決断してよかった。今では心からそう思えます。

あゆみの森こども園は、皆様の力を借りながら、これからも成長していきたいと考えています。保護者の皆様、地域の皆様、そしてこれから仲間になってくださる方々。一緒に、子どもたちの未来を育んでいければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

あゆみの森こども園
園長 熱田博之


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